1年・2年の長期課程という選択肢(全国227コースを集計)

職業訓練というと3〜6か月のコースを思い浮かべる人が多いはずですが、1年・2年かけて学ぶ長期課程もあります。このサイトに載っている募集中1,820コースのうち、訓練期間が12か月以上のものは227コース。授業料・年齢・入校時期が短期のコースとは大きく違うので、混同しないよう数字で整理しました。

この記事のデータ 2026年10月17日時点で当サイトに掲載している募集中のコース1,820件のうち、訓練期間が12か月以上の227件を集計しました。出典は各コースページに記載しているとおり、厚生労働省ハローワークインターネットサービスの公開情報です。「募集中」はまだ締切を過ぎていないコースのことで、その中には募集開始前のものも含みます。

12か月以上のコースは227件

募集中1,820コースのうち、訓練期間が12か月以上のものは227コース(12%)でした。期間はきっちり2つに分かれます。

12か月(1年)142コース
24か月(2年)85コース
うち公共職業訓練227コース(全件)
うち求職者支援訓練0コース

求職者支援訓練には12か月以上のコースが1件もありません。長期課程を探すなら、都道府県の職業能力開発校(高等技術専門校など)が行う公共職業訓練が対象になります。2つの訓練の違いは公共職業訓練と求職者支援訓練の違いにまとめています。

厚生労働省の説明でも、普通課程は都道府県立の職業能力開発校が中学・高校卒業者などを対象に行う「1年又は2年」の訓練とされています。訓練時間も別物です。12か月未満のコースは総訓練時間の中央値が570時間ですが、長期課程のうち普通課程は2,800時間、1年の離転職者訓練は1,405時間でした。

「普通課程」と「離転職者訓練」は別物

227件を訓練の種類で分けると、性格の違う2つのグループがあります。

普通課程(高卒・中卒者向けの1年・2年課程)149コース(1年66・2年83)
離転職者訓練(施設内・1年)62コース
新規学校卒業者向け12コース
専門課程(2年)2コース
その他2コース

普通課程は、もともと高校を卒業した人などが技能を身につけるための課程です。内訳は「高卒2年課程」75件、「高卒1年課程」70件などです。対象者欄に「新規学卒者・離職者問わず」のように離職者も受け入れると明記しているのは149件中5件で、ほとんどは「高等学校を卒業した者」などの学歴で書かれています。離職者が応募できるかはコースごとに確認が必要です。

離転職者訓練は、仕事を探している人向けの訓練です。ふだん見かける3〜6か月のコースと同じ種類ですが、この62件は期間が1年あります。建築科・造園科・溶接など、職人系の分野が目立ちます。

分野は自動車・機械・電気・建設

普通課程149件の分野を数えると、輸送サービス(ほぼ自動車整備)31件、機械29件、電気24件、建設19件、IT13件、その他の製造12件、金属10件でした。事務系は4件だけです。

コース名でいちばん多いのは「自動車整備科」の23件。名前に「自動車」が入るコース32件のうち26件が2年課程です。資格欄では、長期課程227件のうち「第二種電気工事士」を挙げているのが31件、「技能士補」が16件ありました。

離転職者訓練62件では建設18件、金属12件、電気8件、農業6件の順です。「建築科」7件、「総合造園科」3件など、職人の技能を1年かけて学ぶコースが中心です。

普通課程は授業料がかかる

ここがいちばん大きな違いです。普通課程149件と専門課程2件は、すべて授業料ありの扱いでした。対して12か月未満のコース1,593件で授業料ありの扱いは1件だけです。「職業訓練は無料」と思って長期課程を選ぶと、ここで話が変わります。

公開されている自己負担額(授業料・教科書代などの合計)を期間別に見るとこうなります。

普通課程 1年(66件)中央値 91,000円(14,500円〜300,000円)
普通課程 2年(83件)中央値 177,200円(30,000円〜693,250円)
専門課程 2年(2件)1,063,000円・1,093,000円
離転職者訓練 1年(62件)授業料無料、自己負担の中央値 70,000円(25,000円〜268,550円)

同じ普通課程でも金額の幅が大きく、都道府県によって授業料の設定が違います。また公開資料の内訳は「教科書代」と「その他」に分かれているだけのものが多く、授業料・入校料・作業服代などがどう含まれているかはコースごとに違います。

授業料の支払いが難しいとき

厚生労働省の学卒者訓練のページでは、経済的な理由で受講が難しい訓練生向けに「技能者育成支援資金融資制度」(労働金庫による融資)が案内されています。返済が必要な融資で、給付ではありません。授業料の減免や分納の扱いは公開データに載っていないため、気になるコースがあれば訓練校か都道府県の職業能力開発の担当課に直接確認してください。

生活費の支えはどうなるか

長期課程227件は、どれも「職業訓練受講給付金」(月10万円)の対象ではありませんでした。受講給付金は求職者支援訓練の制度で、公共職業訓練は対象外だからです。条件は受講給付金をもらえる条件にまとめています。

雇用保険を受けている人の場合、ハローワークの所長から公共職業訓練の受講指示を受けると、ハローワークインターネットサービスの説明では次のような扱いになります。

基本手当訓練中に所定給付日数が終わっても、訓練が終わる日まで引き続き支給
受講手当日額500円(上限20,000円)
通所手当通所方法によって違い、月額最高42,500円

ただし受講指示は、原則として所定給付日数の残りが一定以上ある時点で行うことになっています。1年・2年の長期課程が受講指示の対象になるか、どの課程なら対象になるかは、ここで確認できた公開資料には書かれていませんでした。特に普通課程はもともと学校を卒業した人向けの課程なので、自分が対象になるかは必ずハローワークの窓口で確かめてください。仕組みは失業保険をもらいながら訓練を受ける仕組みに書いています。

受講指示の対象にならない場合、1年・2年のあいだ収入がない前提で生活費を考える必要があります。授業料と合わせて、入校前に見通しを立てておくことが大切です。

年齢の上限があるコースも

対象者欄に「40歳以下」「おおむね35歳以下」など年齢の上限を書いているコースが41件あり、うち39件が普通課程でした。上限は40歳が20件でいちばん多く、35歳が6件、30歳が5件、34歳が4件です。

普通課程はもともと若い人の就職を想定した課程なので、こうした条件がつくことがあります。一方、離転職者訓練の対象者欄は「学歴は問いません」「年齢制限なし」といった書き方が多く、上限を書いていたのは1件だけでした。年齢が気になる人は、まず対象者欄を見てください。

ほぼ全部が4月入校、いまは「募集前」が多い

227件のうち225件が2027年4月入校で、10月入校は2件だけでした。学校の年度に合わせて動くので、思い立ったときに入れる短期コースとは違い、年に1回のチャンスと考えたほうがいいでしょう。

募集の状況を見ると、227件のうち170件はまだ募集が始まっていません。締切日が先に出ていても、今日申し込めるのは57件だけです。この57件の締切は46件が2026年10月中でした。

そのかわり募集の回数は多めです。募集が3回以上あるコースが148件あり、1回目で定員が埋まらなければ2回目・3回目と続きます。考え方は募集が2回・3回あるコースの記事に、募集開始日の注意点は「募集中」でもまだ申し込めないに書いています。

地域の偏り

長期課程が見つかったのは28都道府県で、残りの都道府県では当サイトの掲載分に12か月以上のコースがありませんでした。多いのは福岡県32件、広島県21件、茨城県15件、北海道15件、神奈川県14件、埼玉県13件です。住んでいる地域になければ、通える範囲の隣県も含めて探すことになります。

長期課程が向いている人

  • 未経験から技能職に就きたい人。自動車整備・電気・建築・溶接など、時間をかけて実技を積む分野が中心です
  • 4月まで待てる人。ほぼ全部が4月入校で、いま申し込めるのは一部です
  • 授業料と1〜2年の生活費の見通しが立つ人。普通課程は授業料がかかります
  • 年齢の条件に当てはまる人。普通課程は上限を設けているコースがあります

早く再就職したい場合は、3〜6か月の離職者向けコースのほうが現実的なこともあります。どちらがよいかは、ハローワークの窓口で生活費の見通しも含めて相談してください。

まとめ

  • 12か月以上のコースは227件(募集中の12%)。1年課程142件、2年課程85件で、すべて公共職業訓練
  • 中心は高卒者などを対象にした「普通課程」149件で、全件が授業料ありの扱い
  • 1年の離転職者訓練62件は授業料無料。ただし教材費などの自己負担は中央値7万円
  • 227件中225件が2027年4月入校。170件はまだ募集が始まっていない
  • 普通課程の39件は「40歳以下」などの年齢の上限を書いている

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