規模:12分野で2番目に大きい
募集中のコースを分野別に数えると、製造・ものづくりは事務・経理に次ぐ2位です。
| 事務・経理 | 697件 |
|---|---|
| 製造・ものづくり | 473件 |
| IT・Web | 391件 |
| 電気・設備 | 275件 |
| 建築・CAD | 215件 |
473件の定員を合計すると5,612人分です。事務・経理は697件で10,914人分ですから、1コースあたりの定員はこちらのほうが小さいことになります。定員の中央値は12人で、少人数で実習をする形が標準です。設置されている都道府県は46。広島県27件、福岡県23件、兵庫県21件、茨城県18件、群馬県17件と続きます。ものづくりの産地に厚く置かれている一方、全国どこかしらにはあります。
就職率:中央値86%は分野別で上位
このサイトは各コースの就職率を公開データから拾っています。最新年度の値が載っている214件を集計すると、分野別の中央値はこうなりました。
| 美容・理容 | 88%(33件) |
|---|---|
| 製造・ものづくり | 86%(214件) |
| 介護・福祉 | 85%(50件) |
| IT・Web | 80%(193件) |
| 事務・経理 | 76%(277件) |
214件の内訳を見ると、90%以上が84件、80%以上が172件、70%未満は6件しかありません。分布そのものが高いほうに寄っています。
取れる資格:主役は特別教育と技能講習
資格の記載があるのは473件のうち404件です。何が書かれているかを数えると、この分野の性格がはっきり出ます。
| アーク溶接(特別教育) | 178件 |
|---|---|
| ガス溶接(技能講習) | 171件 |
| 自由研削といし(特別教育) | 167件 |
| CAD利用技術者試験 | 120件 |
| 粉じん作業(特別教育) | 112件 |
| 溶接技能者評価試験 | 69件 |
| クレーン運転 | 59件 |
| 玉掛け(技能講習) | 48件 |
| フォークリフト運転(技能講習) | 42件 |
上位を占めるのは、労働安全衛生法にもとづく特別教育や技能講習です。これは合否のある試験ではなく、決められた時間の講習を受けて修了するもので、その作業に就くために法律で求められる資格にあたります。事務・経理の分野で上位に来るのがMOSや日商簿記といった検定だったのとは、性質が違います。訓練の中で複数まとめて修了できるのがこの分野の実利で、1コースで溶接系と研削系を両方掲げているものが少なくありません。
ただし資格の書き方はコースごとにばらばらで、「任意で取得可能」と添えているものもあります。上の件数は資格名がコース情報に書かれているコースの数であって、全員が必ず取れるという意味ではありません。83件は資格の記載がないか「特になし」です。
就職先:溶接・製缶の系統とCAD・NCの系統
コース名を数えると、この分野は大きく二つの系統に分かれます。
ひとつは溶接・製缶の系統で、コース名に「溶接」が入るものが116件。想定される就職先として挙がるのは溶接工、製缶工、配管工、板金工、鉄骨加工などです。もうひとつは図面と機械加工の系統で、「CAD」が164件、「NC」が60件、「機械」が102件。こちらはCADオペレータ、CAD/CAMオペレータ、NCプログラマ、旋盤工、フライス盤工、検査、機械組立といった職種が並びます。
就職率を系統ごとに見ると、コース名に「溶接」を含む116件の中央値は87%(公表65件)、「CAD」を含む164件は85%(公表95件)でした。差はほとんどありません。系統の選択は就職率ではなく、体を使う仕事と図面を扱う仕事のどちらに就きたいかで決めるのが素直だと思います。
期間と訓練時間:事務・経理の2倍を超える
期間の中央値は6か月です。6か月が264件、7か月が109件で、この二つで473件の79%を占めます。総訓練時間の中央値は691時間。事務・経理の327.5時間と比べると2倍を超えます。実習に時間がかかるぶん、拘束は長くなります。
残りは12か月が49件、24か月が38件で、この長いものは次に説明する普通課程です。
お金:中央値15,000円と、183,000円の別世界
473件全体の自己負担額の中央値は15,000円です。ただしこの数字は二つのまったく違う集団を混ぜたもので、そのまま受け取ると危険です。
| 授業料なし(408件) | 自己負担の中央値14,000円・最大100,000円・期間の中央値6か月 |
|---|---|
| 授業料あり(65件) | 自己負担の中央値183,000円・最大1,093,000円・期間の中央値24か月 |
408件のほうが、いわゆる「受講料無料、テキスト代は自己負担」のコースです。6か月コース264件に限れば中央値は13,000円で、最大でも61,000円。授業料がかかるものは一件もありません。
いっぽう65件は普通課程と呼ばれる別の課程で、高卒1年課程や高卒2年課程として設置されています。受講対象を見ると「高等学校を卒業した者(おおむね35歳以下)」「令和8年4月1日現在18〜45歳」のように年齢や学歴で区切っているものが40件あり、離職者向けというより学卒者向けの訓練です。同じ「職業訓練」の一覧に並びますが、費用も期間も別物だと考えてください。金額の全体像は受講料無料でも自己負担はいくら?にまとめています。
給付金:事務・経理とは逆の構図
ここがこの分野でいちばん誤解されやすいところです。
| 公共職業訓練 | 471件 |
|---|---|
| 求職者支援訓練 | 2件 |
月10万円の職業訓練受講給付金は、求職者支援訓練を受ける人のための制度です。この分野で対象になるのは473件のうち2件だけ。事務・経理では702件中279件が対象でしたから、構図がまるきり逆になっています。「職業訓練に通えば月10万円もらえる」と聞いて製造分野のコースを探すと、ほぼ確実に対象外に当たります。
では471件に通う人が無支援かというと、そうではありません。公共職業訓練は、雇用保険の失業給付を受けながら通うことを前提にした制度です。厚生労働省のハロトレ特設サイトによれば、雇用保険を受給できる人がハローワークの受講指示を受けて受講する場合、基本手当に加えて受講手当が日額500円(上限あり)、通所手当(上限あり)が支給されます。さらにハローワークインターネットサービスの説明では、訓練期間中に所定給付日数が終わっても、訓練が終了する日まで引き続き基本手当が支給されます。期間の中央値が6か月というこの分野では、この延長の意味は小さくありません。
つまり、雇用保険の受給資格があるかどうかで話がまったく変わります。受給資格がある人にとっては有利な設計で、ない人にとっては選択肢が2件しかない分野です。制度の違いは公共職業訓練と求職者支援訓練の違い、失業給付との関係は失業給付をもらいながら職業訓練に通うを見てください。
選ぶときに見るところ
- 開始は年度末から新年度に集まる……2027年4月開始が83件、2026年12月開始が82件、2027年1月開始が75件。事務・経理が秋開始に寄っていたのと違い、こちらは分散しています。
- 締切は今と来月が山……申込締切は2026年10月が102件、11月が102件、9月が92件。開始の数か月前に締切が来るので、逆算の考え方は申し込みの流れと締切の逆算を参考にしてください。
- 期間は6か月が既定線……生活費のめどを6か月分立てられるかが、この分野に入れるかどうかの実質的な条件になります。失業給付の残日数を先に確認してください。
- 就職率が載っていないコースが259件ある……載っていないことは悪い数字を隠しているという意味ではなく、開講実績がまだない場合も含みます。比較の材料が足りないときは、訓練実施機関に直接聞くのが早いです。